Z600mm F6.3 VR S 試用記

最近ZマウントのZ600mm F6.3 VR S(通称663)を入手しました。
Zマウントには180-600mm F5.6-6.3というズームレンズがあります。
こちらも写りは良く、最大焦点距離、F値も変わらないのですが、軽さ重視で663にしました。
これまではFマウント用のAF-S 500mm F5.6 PF(通称556)をFTZII経由で使っていました。
663は位相フレネルレンズを使い小型軽量を実現した556の後継レンズとなります。
以下に663の使用感を556との比較を交えて述べてみたいと思います。
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663 |
556 |
焦点距離 |
600mm F6.3 |
500mm F5.6 |
レンズ構成 |
14群21枚 ED2枚、SR1枚、PF1枚 |
11群19枚 ED3枚、PF1枚 |
手振れ補正 |
5.5段 ボディ協調で6段 |
4段 |
フィルターサイズ |
95mm |
95mm |
最短撮影距離 |
4m(0.15倍) |
3m(0.18倍) |
寸法 |
106.5 x 278mm |
106 x 237mm |
質量 |
1470/1390g 三脚座 有り/無し |
1460g 三脚座 有り(?) |

左 Z8+663、右 Z8+FTZ+556
663と556は質量はほぼ同じですが、全長は663が約4cm長くなっています。
Z8に663を装着して持ってみると、556よりも重く感じます。実際はFTZが必須な556の方が重いのですが、フォーカスリングの位置が手前にあり、レンズに添える左手の位置の関係でそう感じるようです。
AF速度ですが、体感上若干ですが663の方が遅く感じます。
663はステッピングモーター、556は超音波モーターという違いがそう感じさせるのでしょうが、どちらのレンズも実用上は十分な速さだと思います。

↑側面のスイッチはシンプルになりました。FULLにするとフォーカス範囲は4m〜∞となります。
手ぶれ補正の効きは556から向上したようです。ただ手ぶれ補正のOFF/NORMAL/SPORTのモード切替が556はレンズ側のスイッチで行えるのに対して、663はボディ側で行う必要があります。
頻繁に変えることはないにしても、レンズ側で行えたほうがベターでした。
焦点距離の500mm→600mmへの拡大は野鳥撮影では大きなメリットです。
最短撮影距離は556の3mから4mに伸びてしまいました。これは時に不便に感じます。
レンズの写りですが、解像感は同等に感じます。
556は逆光時にフレアっぽい写りになりがちでした。この位相フレネルレンズの欠点は多少は改善されているように感じます。もっとも556は既に手元になく、同一の条件で比較することは出来ないので個人の感想ということですが。
※663に採用されたSR(短波長屈折)レンズは軸上色収差を補うため使用されています。
Z純正レンズということで便利になった点があります。
一つ目はフォーカスリングを回すと、EVF内に距離表示が現れます。対象までの距離が分かるのは便利です。

二つ目は、レンズ上の4個のL-Fn2ボタンの機能割当で中央1点+AF-ONを割り当てると便利です。
こうすると鳥認識AFモードで撮影中に中央1点AFがメニュー切替なしでダイレクトに行えます。

三つ目はフォーカス位置を記憶/復元する機能が使いやすくなっています。
この機能はMEMORY SETボタンとL-Fnボタンを使用して実行します。
この機能は556にもあったのですが、使ったことがありませんでした。663では操作性の向上でより実用的になりました。
入手する前は663は556に対して、大きく写せて、重さも変わらず、操作性も向上するだろうということでデメリットは無いな、と思っていました。
しかし最短撮影距離以外に、フォーカスリングの位置の違いによるフォールディング感の悪化という思わぬ欠点も感じましたが、野鳥撮影用のゴールのレンズということで今後永らく愛用していく積りです。